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見た目は大判焼き、中身はたこ焼き。題して「たこ判焼き」を作るのは3代目店主、菅田いつめさん。
部活帰りの地元の学生やこども会の差し入れや企業のケータリングや県外から食べに来られる方など、多くの人に愛される創業40年の仁尾のソウルフードだ。
みんなのエネルギーで誕生した仁尾のソウルフード。
たこ判は92歳までお店に立っていたおばあちゃんが、今から40年前に部活帰りのお腹をすかせた中学生たちと「子供でも買える食べ物をつくろう」と話し合って誕生したメニューなんです。たこ判をつくった中学生の子たちが友達を誘ってくれて、徐々に口コミで広がっていきました。今では当時中学生だった子が自分の子供を連れてきたり友達に進めてくれた影響で色んな方が来てくださるようになりました。
おばあちゃんが作ったのは、たこ判を通じた人の輪でした。
おばあちゃんは地域でも名物おばあちゃんで、お小遣いが足りなくて一人だけ食べられない子がいたらその子の分もおまけでたこ判をあげたり、悪さをした子がいたら自分の子のように本気で怒ったり。「ただいまー!」という感覚で子供から大人まで、おばあちゃんの周りには自然と人の輪が出来ていました。
おばあちゃんは、よく「このお店はみんなの”おかげさま”で支えられているんだよ」と私に教えてくれました。創業時から大切にしてきた”お客さまに喜んでもらうこと”を一番にこれからも輪を広げていきたいです。
「小学生の頃から手伝ってきたお店を、今度は自分が未来に繋げていきたい。」
そう言ってくれる息子にバトンを繋ぎたい。
私には息子がいるのですが、幼少期からたこ判を焼いている横で常連さんに遊んで貰ったり、小学生になったらキャベツを切ったり、今では配達や接客のお手伝いもしてくれています。おばあちゃんと話すのも大好きで、いつも一緒に過ごしていました。自然と困っている人を見ると気かけてしまう姿を見ているとおばあちゃんにそっくりだなと感じます。そんな息子から、将来は「たこ判屋を継いでもっと色んなところにお店を出したい」と言われたときは驚きましたが、母として息子にバトンを繋ぐことが私の目標になっています。おばあちゃんの想いを受け継いでたこ判をお客さまに届ける、そして息子にバトンを繋げるように、これからもお店とともに歩んでいきたいと思います。
編集後記
一つの食べ物の裏には、数々のドラマが広がっている。誕生秘話から今日に至るまで、多くの人にとって「たこ判小前」は食べ物屋さん以上の場所になっているのではないかとお話をしながら感じられた。”お客様に喜んでいただくこと”を信念にしているからこそ、時代に合わせて変化させるところ・させないところが見つけられるのではないかなと思う。これからも「おかえりー!」と友人のように迎え入れてくれるいつめさんと息子さんに会いにいくのが楽しみだ。
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